「片道3時間の恋」と「片道3秒の恋」
彼は、3つ上の先輩だった。私は大学1年生。
正直、第一印象とか覚えてない。
なにをきっかけに、彼のことを好きになったのかすら忘れたけど「好き」ってそんなもんかなと思う。
気づいたら好きでした、みたいな。(いい加減)
あ、でも、べろべろに酔っ払ってどうしようもなく暴れてる後輩(男)をちゃんと介抱してる姿に「大人の余裕」を感じたのは覚えてる。
きっとあのときだな、多分。(いい加減)
私の積極的なアプローチで、彼に告白してもらって、付き合い始めたのは4年前の5月のこと。
年上で、身長180cmで、理系で、車持ち。
これ以上に最高なステータスはないと信じて疑わなかった当時の私は、彼と付き合えたことに浮かれまくっていた。
浮かれて、浮かれて、浮かれまくっていた。
その反動が大きかったのだと思う。彼の就職を機に片道3時間の遠距離が始まってひたすら落ち込んだ。
週5・6で会えていたのが、月に1・2回に激減。
今になって考えてみると、片道3時間なんてまだマシだったと思える。だけど、当時は必死だった。
金曜日の授業を終え、寮に帰って荷物をまとめる。窓口で買った学割切符を片手に電車に乗り込み、3回の乗り換え。遠距離が始まって1年が経つころには、乗り換え案内を見ずともホームを移動できるようになっていた。
バイトリーダーに頼み込んで、15分早上がりさせてもらい、急いで駅まで向かって最終の新幹線に間一髪で駆け込んだこともある。帰宅ラッシュに巻き込まれて、3時間ずっと立ちっぱなしだったことも何回か。重い荷物のせいで左肩は真っ赤になり、彼の家の最寄駅に着く頃にはいつもヘトヘト。
それでも、彼に会えれば何だっていいと思えた。(恋愛バラードの歌詞みたい)
ああ、そんなこともあったなあ。
懐かしいなあ。
そんな風に思えるようになったのは最近のこと。
彼と同棲を始めてからである。
片道3時間の道のりは、今や片道3秒。
仕事から帰宅した彼が玄関のドアを開ける音を聞いてから、3秒もあれば「おかえり」を言える。
帰宅ラッシュに巻き込まれて3時間立ちっぱなしなんてことはもうないし、私の左肩を痛めるのは2人分の食材が入ったスーパーの袋だけ。
私と彼を取り巻く環境は、幾度となく変わる。
夢の国から いざ現実へ !
— あ す か (@asupon0609) 2014年10月22日
この駅は、何年後かには いい思い出に
なるはずだ って 早く本当にそうなれば
いいのだけれど 。
あ、変わらないこともあった。
片道3時間だろうと、片道3秒だろうと
彼に会うまでの道のり、私はこの上なく幸せだということ。
これだけは変わらない。これからも。
きっと、多分。(いい加減)