歌が好きすぎて、作業が進まない
歌うことが、たまらなく好きだ。
勉強をしているときも、車を運転しているときも、夕飯を作っているときも、気付いたら歌をうたっている。
そして困ったことに、たいていの場合は歌うほうに集中してしまう。そのせいで、「作業が終わらない」ということもしばしば。
音楽ないと作業ができない派だけど、高確率で聴いてる曲を最後まで気持ちよく歌いきってしまい作業が驚くほど進まない(ゼミ資料終わらない)
— あ す か (@asupon0609) 2017年6月13日
いつから、こんなに歌うことが好きになったんだろう?
昔の記憶をたぐり寄せてみる。
脳裏に浮かんだのは、母親の小さな車の中。
母はCarpenters(カーペンターズ)が好きで、母の車でどこか行くときにはいつもCarpentersの曲がかかっていた気がする。
そのとき、私はまだ小学校低学年。カントリーミュージック独特の、あの優しいメロディーにのって聞こえてくる歌詞が「英語」だということも知らない年齢だった。
それなのに、気付いたら私はCarpentersの「Top Of The World」を完璧に歌えるようになっていた。もちろん、英語の歌詞を理解していたわけではないので発音はデタラメだったが、本当に英語で歌っているのかのような雰囲気は出せていたと思う。
「あーちゃん、歌うまいなあ」
その曲を歌うたびに母に褒められた。
今思えば、あれは小さい子どもにかける“あやし言葉”の類だったのかもしれない。でも、当時はそんなこと気にもとめなかった。
歌えば、上手いねと褒めてくれるひとがいる。笑ってくれるひとがいる。
歌うことを好きになるには、十分すぎる理由だった。
歌手になりたい、と思ったこともある。
カラオケ大会にも何度か出場した(地方大会やのど自慢の予選とか)。
私自信、自分の歌唱力がどれほどのものなのか試したかったのかもしれない。
特に印象深いのは、地元長浜で開催された大会。優勝すれば、レコード会社との契約も夢じゃないとポスターには書いてあった。
大会出場者は、100人近く。そんなに規模の大きいものではない。
いけるかも、と正直思っていた。
だから、自分と同い年くらいの女の子が「優勝」と書かれた賞状とトロフィーを持って涙声でコメントしている姿をみたときは、ただただ辛く、情けない気持ちで押しつぶされそうだった。
「上には上がいる」
井の中の蛙、そのもの。
「本気で歌手を目指してたわけじゃないし」と自分に言い聞かせ、そのたびに自分のことを少し嫌いになった。
会場に応援に来てくれていた家族は、上手かったよと褒めてくれたし、すごかったよと笑ってもくれた。笑っていなかったのは、私だけだ。
あれから、3年近く。
気がついたら、歌をうたっている。
勉強をしているときも、車を運転しているときも、夕飯を作っているときも。
これはもう一種の中毒なのかもしれない。
このブログを書いている今も、私は歌っている。
おかげで、ここまで書くのに結構な時間をかけてしまった。
選曲は、母の車で何度も聴いていた Carpenters の「Top Of The World」。
あの頃のようにデタラメな発音ではなく、今はちゃんと歌える。
上手くなったなあ、と自分に言い聞かせ、思わず笑みがこぼれた。
歌うことが、たまらなく好きだ。